牛を育てるまちに、地元の牛を食べる文化を育む。 | どっこいしょニッポン

牛を育てるまちに、地元の牛を食べる文化を育む。

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北海道では「人より牛の数のほうが多いまち」として知られている道東の別海町。

人口は約1万5千人、乳牛・肉牛を合わせた牛の数は約10万8000頭で、つまり人口の7倍以上の数の牛が飼われているのです。この牛だらけのまちに生まれた「おいしさを追求した肉牛ブランド」が、有限会社ジェイファームシマザキの「しまざき壮健牛」。代表の島崎美昭さんに、誕生の物語を伺いました。

 

 

酪農から家畜商、乳牛から肉牛育成・販売へ

ジェイファームシマザキの看板

ブランド肉牛を生産しているジェイファームシマザキですが、その経営の中心は酪農。戦後、島崎さんの父親がこの土地に入植して酪農をはじめ、今では乳牛約500頭を飼養しています。

ジェイファームシマザキにいる牛

肉牛生産につながる第一歩は、島崎さんの代になり家畜商の免許を取得したことでした。牧場で生まれた仔牛の売却や働き手となる雌牛の購入を自分で行うことで、これまでかかっていたマージンが利益として手元に残るように。「商売」が面白くなってのめり込み、良い仔牛を仕入れ、育成して高く売るようにもなりました。

こういった乳牛での売買が上手くいったことから、平成2年、肉牛の仔牛を購入・育成しての素牛販売にも手を広げたのです。

 

「自慢の牛を、みんなに食べてほしい!」ジェイファームシマザキのスタッフたち

「田舎暮らしをのんびりと楽しみながら、家族でできる農業が理想だった。自分で育てたものをみんなで食べるのも農業の醍醐味」

島崎さんは肉牛生産を始める以前から、自家用に年間3~4頭を屠畜し、家族や牧場スタッフ、友人たちとのバーベキューなどで味わっていたそう。仲間たちの「おいしいねぇ!」という言葉を聞いて、自分が育てた牛の味には自信を持っていました。

平成18年から原油と飼料代の高騰が続き、酪農・畜産業界は大打撃を受けました。肉牛の素牛の相場も下がり続けたため、ジェイファームシマザキでは交雑種の素牛300頭の売りどきを逃す事態に。そこで肥育に切り替え、いよいよ販売しようという時に、リーマンショックが起こります。肉牛相場は大暴落。肥育牛を育てて販売しても、餌代の回収さえ難しいという状況になったのです。

ジェイファームシマザキの島崎さん

「自分で肉にして、コストに見合う値段を付けて売ろう」。ピンチをチャンスと捉えた島崎さんは、新規事業に乗り出しました。

 

 

ブランド牛「しまざき壮健牛」を自社で販売

牛肉本舗くろ

平成21年、牧場のある別海町に隣接する弟子屈町の中心部に、牛肉の加工場と直接販売コーナーを併設した焼肉レストランを開店。ほぼ同時に、インターネットでの販売も開始しました。

「そもそも牛を飼っている地域で、地元産の牛肉が食べられないのはおかしいと思っていたんですよ」

ジェイファームシマザキの黒毛和種とホルスタインの交雑種は、ブランド牛「しまざき壮健牛」となり、「食べれば違いがわかるほどおいしい」と地域の人や観光客の人気を集めています。

 

放牧されている牛たち

一般的に、肉牛は畜舎で細かく管理して生産されることが多いもの。ですが「しまざき壮健牛」の育成牛は、放牧地を歩かせて健康的に育てています。また「肥育している間にも肉が熟成していく」という考えから、一般的な方法よりも半年ほど長く肥育しています。

餌代がかかり、ビジネスのサイクルも遅くなりますが、「おいしい、また食べたいって言ってもらうのが一番嬉しいからね!」

島崎さんのこだわりの牛づくりが、地域の食文化を育みます。

ジェイファームシマザキにいる牛たち

→「有限会社ジェイファームシマザキ」のその他の記事はこちらから。

有限会社ジェイファームシマザキ

http://jfarm-shimazaki.jp

  • 営業時間:要問い合わせ
  • TEL:要問い合わせ
  • 定休日:要問い合わせ
  • アクセス:〒088-2578 北海道野付郡別海町泉川57番地11

この記事を書いた人有限会社シーズ

北海道札幌市で、取材編集やデザインワークに取り組むプロダクション。

インタビューやルポから、各種誌面・webサイトの企画制作などのオシゴトをアレコレと。近々、酒場にまつわる下世話なハナシをまとめた『サカバナ』という本を出版する予定。お買い求めいただいた方から「なにこれ?」と評されること、必至であります。

有限会社シーズ http://www.cs-sapporo.com/

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