「うませる」から「いただく」へ。自然卵養鶏法が生み出す相馬ミルキーエッグ | どっこいしょニッポン

「うませる」から「いただく」へ。自然卵養鶏法が生み出す相馬ミルキーエッグ

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大野村農園では、養鶏と野菜づくりによって完璧に近い形で循環型農業が実現されています。養鶏では自然卵養鶏法を用い、なるべく自然に近い状態でにわとりを飼養。野菜づくりでは、季節ごとの旬野菜を無農薬で栽培しています。

素早く安定的に食品を届けるために、効率化された飼育が主流のこの時代に、ある意味非効率な循環式農業を選ぶのはなぜなのでしょうか?

うませる」ではなく「いただく」という少し個性的なというコンセプトを持つ大野村農園の農法について、また、ワンパック830円という値段でありながら、全国に多数のファンを持つ「相馬ミルキーエッグ」の魅力について、代表の菊地将兵さんに詳しく伺いました。

 

大野村農園が行う・循環型農業・自然卵養鶏法とは?

大野村農園・菊池将兵さん

まずは、大野村農園で行われている、循環型農業・自然卵養鶏法とはどのようなものなのでしょうか?

循環型農業とは、有機物を循環させながら行う農法です。特徴的なのがエサです。農作物を収穫した後の収穫クズやその地方で捕れた魚のアラ、米ぬかなどを利用します。カルシウムの形成のために、牡蠣の殻を購入していますが、それ以外で何かを買うということはありません。にわとりがフンをすれば、それが農作物を作る堆肥となります。堆肥から育った野菜がにわとりのエサとなり……という、有機物を循環させながら生産を続ける方法なんです

人間が生まれるずっと前から自然の中で育まれてきた有機物の循環。あらゆる農法の中でも、もっとも自然のあるべき姿に近いのが、この農法です。

飼育方法も、無理に鶏舎に詰め込むのではなく、1羽1羽に広々としたスペースが与えられた平飼いを採用。

鶏舎内には居付きの猫も。

元気ににわとりが飛び回り、居付きの子猫がのんびりとその様子を眺める、なんとも牧歌的な雰囲気が流れています。

そんな環境の中で、あくまで自然の法則に則って育てていくのが、大野村農園の自然卵養鶏法です。

にわとりは、昔は庭で飼っていたからその名がついたんです。かつては、私たちの身近にいて自然の中を生きている動物でした。大量生産がはじまってからは、工場のようなゲージで何万羽ものにわとりを飼うようになりましたが、本来、それはとても不自然なことだと僕は思います

大量に生み出すための飼育方法ではなく、自然に敬意を払い、生物から命をいただくことに謙虚さを持つ姿勢が大事なのではと菊地さん。人間と動物の共存のあり方を問いなおすように、大野村農園は養鶏を行っています。

 

自然と調和した養鶏を

菊池さんと奥様とお子さん                                      

▲ご家族と将兵さん

地域のエサを使い、自然の中で育てる循環型農業と自然卵養鶏法。

健康で安全な方法ではあるものの、それを仕事として成り立たせるには、かなりの苦労があったはず。菊地さんは、なぜこのような特殊な方法で養鶏を行うことにしたのでしょうか?

僕から見ると、現代の養鶏は少し不自然に感じます。日光も浴びられない狭いゲージ、卵をたくさん産むためのエサ、栄養過多や日光不足を補うための薬。大量生産のために、人間がにわとりに卵を産ませるような形になっていますが、本来は逆のはずです。人間がいただくのだから、もっと違ったやり方があるんじゃないかと思っていました

また、卵の味や色を消費者の好みに合わせるため、それに合わせた飼育方法が一般的になっており、本来の卵の魅力が薄れかけていると菊地さん。自然の中で育つと、季節に応じて食べるものが異なるため、色や味が1年を通して変化するのが普通のこと。

人間の好みに合わせた卵とは別に、自然卵養鶏法だからこそできる、卵の自然な姿をもっと多くの人に知ってほしいと。

相馬ミルキーエッグ

▲自然卵養鶏法によって育った「相馬ミルキーエッグ」

例えば野菜にも旬がありますよね。今は1年を通してトマトを食べられますが、本来トマトは夏の野菜です。少し極端な例ですが、そのときどきの旬を食べるのが本来の自然な姿だと思うんです。夏が過ぎたら、もうトマトは終わりで、次の夏まで楽しみに待つみたいな。そこで無理やり作ってしまうのは、やっぱり人間のエゴなわけです。なんでも生み出せるという人間のエゴが、本来の自然の楽しみ方を歪めてしまっているのではないかと思うんです。だからこそ、『いただいている』ということをちゃんと意識できる、養鶏や農業があっても良いのかなと思っています

現代の養鶏や農業、そして社会に対する違和感が、大野村農園のスタイルを生み出した原動力。自然卵養鶏法によって作られた「相馬ミルキーエッグ」は、「生ませるではなくいただく」という菊地さんの想いが凝縮した卵だといえるでしょう。

 

相馬ミルキーエッグ、込められた地元への想い

大野村農園の看板と菊池さん

循環型農業・自然卵養鶏法で生まれる卵の特長は、エサのほとんどが地域で捕れたものを使っているということ。自然の流れに調和した卵であるのと同時に、相馬という地域のエキスを凝縮した卵でもあります。

自然卵養鶏法をはじめるときに、地域のものだけを使おうというのは特に意識しました。この土地だからこそ出せる味、ここでしか作れない香りを表現したかったんです

大野村農園がある相馬は漁師の町、にわとり小屋から20分も行けば、広大な太平洋が広がっています。野菜・米・魚・果物など、相馬の実りで育ったこの卵には、この卵にしか出せない確かなオリジナリティが息づいています。

鶏の様子を見る菊池さん

おじいちゃん・おばあちゃんがこの卵を食べると『懐かしい』って言うんです。かつてあった、相馬の卵が持つ本来の香り・味。それを少しは再現できているのかと思うと、感慨深いものがありますね。

自然を尊重し調和することの大切さ、その地域への想い。

相馬ミルキーエッグは、菊地さんが紡ぐ人・地域・自然のストーリーが詰まった卵なのです。

相馬ミルキーエッグ

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  • 営業時間:要問合せ
  • TEL:090-7574-3114
  • 定休日:要問合せ
  • アクセス:福島県相馬市大坪前迫115

この記事を書いた人児島宏明

株式会社PLAN-B所属のライター。
ジャンルを問わず、さまざまなメディアで原稿を執筆。
現在は、“大人の”堀江を今よりもっと楽しむWEBマガジン「HORIEstyle」の運営に携わり、
解析・企画・撮影など、メディアプランナーとして修行中。
マウンテンバイクにまたがり、野山を駆け巡るのが趣味。

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